https://twitter.com/tenori_dori/status/1519191020159651841

 

私はキンカチョウという小鳥を飼っています。
キンカチョウはオーストラリア原産で、現地では日本のスズメと同じくらい一般的な野鳥です。

キンカチョウは複雑な歌をさえずることができる鳴禽類(英:songbird)に属します。
1950年代に、カナリア、スズメ、キンカチョウなどの鳴禽類がさえずりを学習する過程の研究が始まり、人間の赤ちゃんが言語を学習する過程と多くの共通点があることが分かってきました。
鳴禽類の雛はまず成鳥の歌を耳で聞いて覚え、それを真似て声を出し、その自分の声を聞いて修正を加えていくという順序でさえずりを習得します。

このような発声学習ができる動物種は、現在分かっているところで哺乳類の一部(ヒト・鯨イルカ類・コウモリ・アフリカ象)と鳥類の一部(オウム/インコ類・ハチドリ類・鳴禽類)に限られます。

加えてキンカチョウは、ペアとなった個体と継続した関係を築くことから社会性や絆についての研究モデルにもなっており、人間との共通点をより多く持つ鳥です。

キンカチョウの発声学習に関しては、こんな興味深い研究もあります。
キンカチョウの雛はスピーカーから流れる歌にはあまり興味を示しませんが、対面で歌を聞くと雷に打たれたかのように反応し、その歌を受け継ぐために学習を始めることが分かりました。

これは人間の幼児の言語学習においても同様で、ビデオでの発音学習は対面に比べ学習効果が薄いといわれます。
研究を行った田中雅史氏は、人間の脳にも「対面でしか活動しない神経回路」が存在するのかどうか、オンライン等の遠隔コミュニケーションが主体となった世界でも変わらず文化と社会を発展させていくことができるのか、という問いを提示しています。
そしてそこからさらに踏み込んで、「鳥が人の文化を学べるのか?」という実験にも取り組んでいます。
キンカチョウに人間の文化を伝える実験。
どんな方法で、現在どこまで実験がすすんでいるのか、わくわくしますね(論文はもう出ているのでしょうか)。

【引用文献・引用ウェブサイト】
■『ナショナルジオグラフィック日本版2018年1月号』(日経ナショナルジオグラフィック社、2018)

■和田和宏『小鳥がさえずるとき脳内では何が起こっている?』(生命誌研究館ウェブサイト)https://www.brh.co.jp/publication/journal/070/research_2

■田中雅史『文化・社会・脳の「密」な関係』(早稲田ウィークリーウェブサイト)https://www.waseda.jp/inst/weekly/news/2021/07/16/89462/

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