我が家のキンカチョウ(錦花鳥)次女のしっぽは、2020年12月中旬より呼吸器系の不調で抗生剤と抗真菌剤による治療を続けていました。
粉薬を水に混ぜて与えるのですが、この薬、苦いです(小さじ一杯飲んでみました)。しっぽはこの薬を飲むのを嫌がります。
でも飲まないと治りませんし、この薬が効かないなら、じゃあ別の薬で、という治療方針を決めることができません。投薬治療中は、薬を混ぜた水以外の水分は一切禁止。青菜、果物も与えることも、水浴びをさせることも禁じられました。
ケージは30℃前後をキープ、体力低下を防ぐために放鳥もさせていませんでした。

しっぽの体に、別の異変が起きているのに気が付いたのは、投薬開始から10日ほどたった頃です。
右足のかかとの部分を止まり木に乗せています。そして、止まり木がうまくつかめない様子でした。前々から時々夜中に止まり木から落ちることがあったので、おかしいなとは思っていました。放鳥もほとんどしていませんでしたし、ケージの中で暴れることもないので、ケガをしたとも思えません。金網の上に乗ったときに、下から足を観察してみましたが、趾瘤症を患っているようにも見えません。

薬水にはビタミン剤も混ぜていますが、前述したとおり、しっぽはこの苦い薬水を飲みたがりません。そのためビタミン不足になっているのではないか、と妻は話していました。
しっぽの異変に気が付いたのが土曜日だったため、すぐには病院へつれていくことができませんでした。そしてその間にも症状は悪化し、しっぽは右足を引きずって歩くようになりました。
足の異変に気が付いてから3日後、呼吸器系の病気の再診を待たず、急遽しっぽを診察してもらうことにしました。
その頃には床の上で立っていても徐々に体が傾き、そして転んでしまうほどになっていました。

私が思っているより、しっぽの健康状態は深刻でした。
まず、呼吸器系の症状が改善されていませんでした。
診察のためにしっぽを保定したかかりつけの先生が、慌てて酸素吸入器を用意するほど危険な状態でした。
曰く、
恐らくは十分な効果が得られるほどの薬を摂取できていない(一日に何グラムの薬水を飲んでいるか、把握していますか?と聞かれましたが、考えたこともありませんでした)。
そして十分な水分を摂っていないために腎臓が腫れ、それが足の神経を圧迫していることが考えられる。レントゲン撮影して腎臓が大きくなっているか確認できれば良いのだが、現在の呼吸器の状態ではレントゲン撮影をしている途中で死亡する可能性もある。
故に確定診断なしに、獣医師としての「勘」で腎臓の薬を追加して飲ませることになるが、それだとますます水を飲まなくなるかも知れない。

一旦、呼吸器系の投薬治療を中止してまずは水を十分に飲ませたら、との質問には、呼吸器系の治療を中断することは命に直結するのでお勧めできない、とのこと。腎臓の症状が長引けば足に障害が残るかも知れない。

ここまで聞いたところで、自分ひとりではどうしたらいいのか分からなくなりました。このまま家に連れ帰っても治療できることは何もない、ということはなんとなく感じました。
かかりつけの先生は、別に言いっぱなしで全部の判断をこちらにゆだねたわけではありません。短時間で私たちが何を考えるべきか、判断材料を整理して提示してくれました。
レントゲンや採血による客観的・科学的な根拠が乏しい状況で診断を下さなければならないのは、大変なことだと思います。

車の中で待っていた妻にも現状を説明してもらい、今後の治療方針を考えることにしました。
いろいろ迷いましたが、今回は入院して治療してもらうことにしました。
治療内容は、皮下補液と特殊注射、薬の直接投与、酸素吸入、ネブライザーによる治療、体重が極端に落ちた場合の給餌です。
薬を混ぜた水を嫌がったしっぽですが、直接投与してもらうことで、その後は真水を自由に飲むことができます。
正直なところ、体に変調をきたすほど水を飲まなくなるなんて考えてもいませんでした。ケージ内は30℃前後を保っていましたし、水を飲むのを我慢するのは辛かっただろうと思います。

ネブライザーによる治療は、3~5日では十分な効果が得られないことが多いため、最低でも7日は続けるが、効果が頭打ちになるので14日以上の治療は行わないとのこと。
これらの治療をすべて行った場合、入院基本費用を含めて経費は1日あたり8,000~9,000円。私にとっては決して安い金額ではありません。
よほどのことがない限りはうちで年越しさせたいと思っているので、1週間で退院させるつもりですが、長期間の入院が必要になったらどうしたら良いんだろう?お金が続かないから治療を打ち切って自宅に連れ帰る、という現実的な選択をしなければならない日がくるかも知れません。

翌日、妻がしっぽのお見舞いに行きました。大好きなお姉ちゃん(長女のきんか)の鳴き声をスマホで録音して聞かせたら、大きな声で呼び鳴きしたそうです。

もしかしたら前日の診察時に、しっぽは命を落としていたかも知れなかった。私はその事実をいまだに実感できないままです。
念のために付け加えますが、それは動物病院や獣医師の対応に問題があったという意味ではありません。小型の鳥の体内に流れている時間というのは、私が考えているよりずっと早いものだということを、感じました。いずれ、お別れする時は必ずやってきます。これだけ危機的な状況に陥ったのも関わらず、私にはまだそれが現実に起きることだと理解できないでいます。

-そのほか、鳥に関するお話-
キンカチョウのはなし

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